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■エッセイ(雑感)■

「いじめ」は共通語だ!              弁護士 菅原哲朗


 見上げる南山公園のソウルタワーを背景に空はまっ青だ。ソウルの初冬は寒い。しかし日射しのある昼の暖かさは東京の気候と変わらない。風の冷たさや水たまりが凍って滑りそうになって気づく。北朝鮮の核実験以来、6ヶ国協議停止への不安と防空訓練など韓国市民生活に影響が出ていると思われるが、羽田から金甫空港間のシャトル便の混雑を見る限り、日本からの年配婦人の韓流観光客やビジネスマンへの影響はない。
 2006年12月1日から3日まで南山山麓に広がる韓国ソウルの東国大学校において、「福祉国家実現のためのスポーツ法の課題」というテーマで韓国スポーツエンターティメント法学会第4回国際学術会議が開催された。私も日本スポーツ法学会会長として招聘され会議に参加した。中国オリンピック委員会政策法規司法規処の衛虹霞副処長は2008年8月の北京オリンピックを間近に控え「中国体育法制現状和未来」について熱っぽく報告していた。2008年北京オリンピックはアジアに話題を提供する。2007年11月には北京の政法大学でアジアスポーツ法学会を開催しようと決まった。
 韓国では2006年7月に「韓国スポーツ仲裁委員会」が設立され、11月に同委員会の安東洙委員長および延基榮委員他3名が海外事例調査のため来日した。その熱心な調査活動に応え、日本スポーツ仲裁機構側は、2003年設立以後4年間の運営実態について多くの資料提供をした。
 新しい組織が誕生することは、常に新しい時代を切り開く先魁である。韓国スポーツ仲裁委員会の設立はスポーツに関する国際紛争を解決するアジアスポーツ仲裁(ADR)組織を希求するためにも積極的な試みと高く評価されよう。
 韓国の法学者や弁護士の歓迎会は、一芸に秀でる人々が多く楽しい。外国人を楽しく歓迎する。たまたま帰国していて参加した在米国韓国人で著名なテコンドー指導者が、歓迎挨拶と乾杯の発声を突然指名される。また某老齢の教授は韓国スポーツエンターティメント法学会会長延基榮教授の突然の指名に、準備不足でこれは「いじめだ」「いじめだ」と片言の日本語を発しながら、懐に持参しているハーモニカで日本の演歌を上手に吹奏する。どうも日本発の少年少女たちが自殺に至る「いじめ」という日本の社会現象の報道は韓国でもすっかり有名で、日本語の「いじめ」で通用する。2006年11月25日、大阪市中央体育館で開催された日本スポーツ仲裁機構と大阪市主催の『日本のスポーツ界に今何が求められているか』スポーツ仲裁シンポジュウムでも、大阪市民から少年少女のスポーツ活動における「いじめ」が教育現場における解決すべき最重要課題として質問が出され熱心な討議となった。
 北京における資本主義的競争社会で如何にビジネスチャンスをとらえて豊かな将来を築くか、毎日が人をかき分けるラッシュアワーの中国人と学校の「いじめ」が毎日のように新聞報道される日本人、マンションの不動産バブルが進みつつ、11月22日、韓国で鳥インフルエンザ(AI)が発生し、中国や日本は韓国からの鶏肉の輸入を中断したとの影響で、サムゲタン(参鶏湯)を食べることを躊躇せざるを得ない韓国人と、国々の話題は異なっても情報は瞬時に移動する。ホテルのVIPルームにおけるアジアスポーツ法学会理事会はキムチ付きの韓国発の日式朝食を食べながら論議だ。昼は高麗大学付近の中国レストランではキムチ付きの韓国発の中式海鮮麺を食べながら懇談だ。外国人同士が韓国で交流を深めることは食事もグローバルに変化する。しかし、基本は韓国の食文化であるキムチを基礎とする日式と中式だ。韓国の弁護士は日本の新しい法律制度が出来ると韓国でも類似した法律が出てくると言う。司法試験制度が法科大学院に日本が変わると同じく、韓国でも司法試験の改革が進むと予想する。

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