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■法リスクマネジメント■

【 法リスクマネジメント:危機管理は逆転の発想から 】


@  「天災は忘れた頃にやってくる」・・・・・事故・トラブルは本来予想できない。常に我が身に振りかかるという意識が大切だ。つまり、人生に危険がともなう限り、完璧な事故防止は不可能なのだ。

A  「マッチ一本火事のもと」・・・・・事故・トラブルのリスク管理の基本は初期管理だ。「初動を制する」ことが被害の拡大を防止する。指差し確認が心と身体の基本。日常的な慣れと危険を感じても「まー、いいや」がミスをうむ。指差確認を徹底し、惰性の遮断を心掛ける。

B  「予見可能性」と「回避可能性」・・・・・リスク情報収集のコツは新聞を毎日見ること。他山の石、人の振り見て我が振り直そう。過失とは注意義務違反である。注意義務違反の構造は、予見可能性と回避可能性で成り立っている。

C  「小さな欲が大きな危機をよぶ」・・・・・嫌な情報ほど第三者に公開する。内部の小さな秘密が外部の不信を拡大させる。身内の恥をオープンに出来る度量が安心を産み、余裕がトラブルを回避する。

D  「危機管理は逆転の発想から」・・・・・誰でも不幸な事態を考えることは、楽しくない。しかし、法リスクマネジメントは、立場を入れ替え、死亡事故・トラブルが発生することを大前提に、逆に安全対策を組み立てることがミスをなくす。


法リスクに立ち向かうための6つの法則


 生きている限り、人は事故や紛争・トラブルに必ず巻き込まれる。信頼しきった人に裏切られたと知るほど悲しいことはない。社会問題となった豊田詐欺商法で若者に貯金を勝手に引き出された老人、地下鉄駅前の貧者の一燈のボランティア募金活動が中間搾取されている事実、これは誰もが体験する現実だ。他人の目から見て順調に人生を送っているように思える人でも、人知れず心の悩みがある。いま自分は幸せだと語る人に、突然不幸が襲ってくる。

 未来は予測できない以上、どうも人生に、法リスクは憑きモノだ、と割り切るしかない。関西大震災やバブル崩壊の経済不況など自分の手に負えない出来事ならば、初めから諦めもつく。常識的に窃盗や強盗など常習犯罪者でない限り、誰も積極的に法を犯すリスク負わないものだ。つまり、金銭に関するトラブルなど法リスクは何時も、突然で、受け身で巻き込まれる。
この時、ドギマギしても仕方がない。

 まず第1の法則は、初動を制し、「果たすべきことを為せ」だ。諦めてはならない。被害が大きくならないよう、自分にできるあらゆる手段を講じるのだ。大声を上げ、ひったくりを追いかけ、自力救済でハンドバック取り返す。一一〇番を呼び出し、目撃した轢き逃げの自動車ナンバーを通報する。

 次に冷静になったら、第2の法則は、客観的になれ、現状を把握するため、事実を集め、「事実を見つめる」のだ。紛争の発生には原因がある。特に人と人との事故・トラブルには因果関係が存在する。なぜ、犯罪者は自分を標的にしたのか。自分が被害者となった原因はどこにあるのか。陰に隠れた真相を見いだそう。客観的な事実こそ論争の出発点だ。

 第3の法則は「自己の行動に正しいという確信を持つ」ことだ。事実の流れは整理できた、自分のミス、弱点も見えてきた。あなたが道義的に謝罪をしたとき、弁解は男らしくない、潔く罪を認めろ、と相手は迫ってくる。一寸の虫にも五分の魂がある。困難に直面したとき、自分が正しいという信念がなければ、戦う勇気は心底から生まれてこない。自分も被害者だ、確かに少しは失敗したかもしれない、でも真の正義は我にある。よし、これで心の準備はできた、真実を第三者に如何に理解してもらえるか、言論の武器を準備しよう。

 第4の法則は、「先例を学ぶ」ことだ。自分と同じ被害をうけた人は他にいないか。本やインターネットで先例を探してみよう。法リスクの対策は一筋縄にはいかないので、友人に聞いたり、この時点で弁護士など専門家の知恵を借りるのもよいだろう。先例が分かれば、対策の選択肢が見えてくる。大事なことは成功例より苦労した失敗例のほうが役に立つ。成功例はおおむね自慢話が多い。

 そこで、法リスクと戦う決断ができたら、第5の法則は「説得と論証を尽くす」だ。自分が正しいという言い分がなければ第三者の裁判官はわからない。もちろんその言い分を立証できなければ信用されない。法律の世界は論理で動く。裁判闘争は、証拠に基づく主張が判断される。裁判とは過去の事実を証拠によって現在の裁判官が判定する制度なのだ。

 第6の法則は、身近な「仲間・家族の信頼を得る」だ。あなたを助ける支援の輪は足下から作り上げるしかない。世論を形成するのだ。法リスクに巻き込まれた自己の行動が他の人々の理解を得られるか、自分の境遇に同情を得られるか、どうかだ。まず、あなたの人柄を知る身近な人間を説得できなければ長期の戦いを維持できない。ドイツの法学者イエーリングは「法の目標は平和であり、それに達する手段は闘争である」と語っている。いわば第六の法則は、長い人生の意義をあなたに与えてくれる人生訓といってよい。

第1の法則・・・果たすべきことを為せ。
第2の法則・・・事実を見つめる。
第3の法則・・・自己の行動に正しいという確信を持つ。
第4の法則・・・先例を学ぶ。
第5の法則・・・説得と論証を尽くす。
第6の法則・・・仲間・家族の信頼を得る。


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